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人形館によせて  四谷シモン

人間にとって一番身近でありながら、同時に一番わかりにくいもの。
「人形」はいつも、みる人を居心地悪くさせます。
人形とは玩具なのか、アートなのか、―――
このあいまいさも、そうした居心地の悪さを増幅させます。

人形とはいったいなんなのでしょうか。
さて、こうした居心地の悪さゆえに敬遠されてきた人形は、
逆にその居心地の悪さゆえにアートの最先端をいくものとして注目され、
最近、人形が美術館やギャラリーで展示される機会も増えてきました。
とはいえ、人形が十分に市民権を得たとはいえないのが現状であり、
人形作品がなかなか見られないという声が多いのも事実です。

こうしたなかで、私の作品が鎌田醤油の歴史的な建物「淡翁荘」の中に
常設展示されることとなりました。
年月を積み重ねたこの洋館は人形作家にとって願ってもない夢のような展示空間であり、
私の人形たちの安息の場所に相応しいものです。
美術館や画廊とは異なる雰囲気をもった室内で私の作品を体験していただき、
人間にとって永遠に不可思議な存在である人形についてあらためて自分の
眼と心で考えていただければ幸いです。

最後になりましたが、財団法人鎌田共済会、佐野画廊さんをはじめ
「四谷シモン人形館」開設にご協力いただいた皆様に御礼を申し上げます。

四谷 シモン